【読書】8冊目 『今夜、すべてのバーで』
※ネタバレ注意
8冊目 『今夜、すべてのバーで』 著:中島らも
概要
アル中の入院物語。
読んでみて
アルコールやドラッグ中毒の文献を読みながら、自分はまだ大丈夫だと言い聞かせながら酒を煽っていく主人公。気弱でありながらも、どこか自分事には考えられないのは非常に人間らしく、なんだかんだ読んでいて惹きつけられる
教養のない人間には酒を飲むことくらいしか残されていない。
教養とは学歴のことではなく「一人の時間をつぶせる技術」のことである
主人公は決して頭が悪いわけではない。
アルコールに関する医学的文献を読み漁る読解力はあるし、文学や哲学についても知識を披露する場面がある。
そこそこ頭の良い人間ならば、決してアルコールに骨まで浸してしまうことはしない。それにもかかわらず、アルコール中毒になってしまうのは自分に「教養」がないからだという理論を展開している。
そんな人間が強制入院で突如、膨大な時間と向き合う事となる。結果は半分見えているが、、、
私は実際に中毒者に会ったことはないため、この小説にどこまでリアリティがあるかは分からない。
只、この本を読む私も同様に思う。「自分はまだ大丈夫だ」と